はじめに:何気なく呼んでいる「みそか」の不思議
12月31日の「大晦日」。私たちは当たり前のように「みそか」と呼んでいますが、その由来を深く考えたことはあるでしょうか?
そこには、古くから日本人が大切にしてきた「数え方」の文化や、夜空の「月の満ち欠け」に基づいた宇宙的な時間感覚が隠されています。知ると誰かに話したくなる、言葉のルーツを探ってみましょう。
1. 「みそか」は数字の「三十」だった?
「みそか」を漢字で書くと「三十日」となります。 これは、日本古来の言葉(大和言葉)における数字の数え方に由来しています。
- 「みそ」=三十: 昔の日本では、10を「とお」、20を「はたち」、30を**「みそ」**と数えました。(※30代を「三十路(みそじ)」と呼ぶのもこの名残です)
- 「か」=日: 日にちを数える助数要素です。「五日(いつか)」「七日(なのか)」と同じ使われ方です。
- 結論: つまり「みそか(三十日)」とは、言葉の成り立ちとしてシンプルに「30番目の日」を指しています。
2. 「つごもり」は宇宙の現象から生まれた
「晦日」を「つごもり」とも読みますが、これは月のサイクルに基づいた非常に情緒的な言葉です。
- 語源は「月隠り(つきごもり)」: 旧暦(太陰太陽暦)では、月が完全に見えなくなる時期が「月末」でした。月が隠れることを意味する「月隠り」がなまって「つごもり」になったとされています。
- 漢字「晦(かい)」の秘密: 漢字の構成を見ると「日(月)」に「毎(ことごとく・尽きる)」が組み合わさっています。これは「月が尽きる」「月が隠れて暗い」という状態を表しており、まさに「月末の夜」を象徴する一字です。
3. なぜ31日なのに「三十日(みそか)」なの?
現代の暦では12月31日が大晦日ですが、なぜ「30日」を意味する名前が使われているのでしょうか。ここには日本の歴史と暦のルールが関係しています。
- 「末日」の代名詞へ: 旧暦では、一ヶ月の長さが29日(小の月)または30日(大の月)でした。そのため、実際の日数が何日であろうとも、「その月の最後の日」を象徴的に「みそか」と呼ぶ習慣が定着しました。
- 「大」がつく特別な日: 毎月の最後の日を「晦日(みそか)」と呼び、その中でも一年の締めくくりとなる最期の一日だけを、敬意を込めて「大晦日」と呼ぶようになったのです。
4. まとめ:言葉に込められた先人の時間感覚
「みそか」や「つごもり」という言葉には、かつての日本人が「月の動き」を生活の基準にし、一ヶ月・一年の「終わり」を区切りとして大切にしていた意識が刻まれています。
大晦日の夜、もし空が暗く月が見えなければ、それは「つごもり(月隠り)」という言葉の通り、新しい月(新年)が始まる準備をしている証拠です。先人の時間感覚に思いを馳せながら、穏やかな夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。



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